寄る辺なく漂ふ我れを砕かむと 探す巌ぞ宛てなくかなし
照滴075
本文
寄る辺なく漂ふ我れを砕かむと 探す巌ぞ宛てなくかなし。
形式
#短歌
カテゴリ
#6.情愛・人間関係
ラベル
#孤独 #喜怒哀楽
キーワード
#寄る辺 #漂う #砕かむ #巌 #悲しみ
要点
拠り所なく漂う自分を砕く岩さえもなく、悲しい。
現代語訳
寄る辺なく漂う〔私は無くなってしまいたいので、〕私を砕いてしまう岩を探すが、それさえなく、さまようのみで悲しい。
注釈
巌:支えや拠り所の象徴。ここでは自分を砕くもの。
宛てなく:努力や救いが無駄に感じられること。彷徨う様子。
解説
孤独と救いを求める心象を、漂流や岩の比喩で描いた情愛短歌。
深掘り_嵯峨
自己の存在の危うさと受容の難しさを詠んだ歌です。「寄る辺なく漂ふ我れ」という自己の不安定な存在を、「砕かむと」(壊したい、あるいは定着させたい)と願っているが、そのための「巌(いわお)」(真理、定着の場所)は「宛てなく」(見当たらず)悲しいという、自己の存在への不安と、確固たる足場を求め続ける放浪の精神を描写しています。